たいくつバスター

ときめきに押し潰されたい

ぼくたちは手のひらの上だけじゃ何もシェアできないだろ/OKAMOTO'Sホールツアー"90'S TOKYO BOYS IN HALL ~爆笑ストイックライヴ~" 2021.02.19

鼻を掠める風の匂いが変わった。そろそろ冬が終わる。大好きなロックバンドを観に行った。
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OKAMOTO'Sのことがすごく好きだ。どれくらい好きなの?と聞かれたら「超好きです」、どこが好きなの?と聞かれたら「好きすぎてよくわかんないですね」、、、まあ、じょうずに言えた試しがない。語彙力や表現力が飛躍的に伸びるきっかけも特にないから、気持ちを綺麗に残せもしないけど、忘れたくないから書く。ただの熱だけど、書く。まだ指先が熱い。


2020年はアイスクリームみたいにどろどろ溶けていった、不健康な時間もあったけれど、別に絶望していなかった。彼らもそんな感じだったみたいで、私が絶望しなかったのは彼らが絶望せずにいてくれたからなのかと気づいた。彼らがいないと、いや、こんなふうに人生を背負わされるのダルいだろうけど、私はどこにピントを合わせたらいいかわからなくなるのかもしれないとも思った。これからも勝手に救われていく。

中野サンプラザで観るOKAMOTO'S、個人的に特別なのだ。ここが会場でよかった。13ヵ月振りの再会ですら、いつもみたいに笑わせてくれるのが嬉しかった。「愛感じちゃってんな〜」と結構本気で思った。あ、笑いごとじゃないよ。感じた愛は身体の隅々まであっという間にたまって、しまいには身体の外に溢れ出ていたようで、昼公演に一緒に入ってくれた友達に「ライヴ中にアヤカの顔見たら、超好きなんだなってすぐわかってよかったよ」と言われた。めちゃくちゃ恥ずかしい。久しぶりだというエクスキューズをなしにしても、何度目かわからない恋に落ちた多幸感と敗北感を味わっていたのは事実だけど。というか、こんなふうに真っ直ぐに愛をぶつけられたらひれ伏すしかない。


昼公演は下手側1列、夜公演は上手側4列という信じられないくらいいい席で観られて満足だった。メンバーの表情がくるくるころころ変わるのを肉眼で確認できるのは嬉しい。ショウくんのステージと視線の使い方が改めて好きだなと思った。パチンッと目が合ったら一気に引き摺りこまれる。スターだよね。コウキくんの優雅なのに激しいギター、ハマくんのギラギラ鮮やかなベース、ジーレイちゃんの華しかないドラム、音楽が目の前にあるという特別な平凡。OKAMOTO'Sって、面白いことや少し変わったことを仕掛けてくれるところがいいみたいなのもありつつ、ステージに立つと律儀にものすごく正しくロックバンドなところがいい。「これこれ!」ってライヴ中絶え間なくドキドキしていた。


「わざわざ音楽を聴きに行く必要なんてないでしょ」という人がいるのはわかっているし、こんなご時世だからそれが正しく聞こえるのもわかっているし、でもわざわざ音楽を聴きに行く必要はある。心ない文字の羅列が音楽を潰せる訳ないとライヴが終わって改めて思う。そんな言葉で音楽を、ロックバンドを、私の大好きな人達を傷つけるなって怒りも湧いてきた。音楽を、ライヴを続ける彼らに傷つくことを覚悟させないで欲しい。世界が優しさだけではできていなくて悔しい。

だからこそ"好き"が届いて欲しいって、叫び出しそうになった。我慢したら代わりに涙が出た。少しでも届いていますように。純愛かよ。